ごあいさつ
”こころの拠り所づくりを目指して”
理事長 胡谷 俊樹
2024年1月1日より、理事長を拝命しました胡谷俊樹と申します。私たち王慈福祉会は設立して以来、倉敷市児島地域の福祉を守ってきて参りました。これからも「心が温まる福祉」を追求していく所存です。私たちが今回、新体制を敷いた一番の理由は、サービスをご利用される方の想いを叶えるためです。
「癌や難病でも、どんな病気でも、最後まで家で過ごしたい」
そんな声を聞いているうちに、ご利用者さまの多くは、住み慣れたご自宅で最後まで過ごすことを望まれるのではないか、と思うようになりました。私たちは現在、最期まで過ごすことのできる「施設」をメインに活動を行ってきました。今後はご利用者様の想いを叶えるために、お家で最後まで過ごすことができるような活動も広げていきます。そのためには、医療と福祉が力を合わせる必要があります。私たちは、グループ内に医療法人王慈会 おうじクリニックを構えております。医療法人の訪問診療や訪問看護に加えて、私たちの訪問介護、小規模多機能型居宅介護などの介護サービスでシームレスに支えることで、想いを叶えることに注力していきます。また今後は、介護サービスだけでなく、障がい福祉サービスや住まいの充実を目指して活動を続けていきたいと思います。「どんな病気でも最後まで家で過ごすことができる」。私たちは、倉敷市をそんな安心できる街にするために、これからも活動して参ります。
”出会いに感謝”
名誉会長 髙橋 鼎
世界の人口はおおよそ74億、日本は1億2千万強、岡山県でも約200万人の方が暮らしています。こんなにたくさんの人がいるにもかかわらず、皆さんはこの時代に日本人として、岡山県人として、そして岡山にかかわりのある人として、生きています。なにか見えない糸を感じずにいられません。人は一生のうち、必要とされるときに必要な出会いがあるといいます。
一緒に働く仲間、利用者とその家族、地域とのふれあいのひとつひとつが新たな出会いです。その出会いは多かれ少なかれ皆さんの人格形成など、様々なかたちで影響や刺激を与えます。出会いに感謝しなければなりません。医療や福祉に限らず、人をお世話するということはとても大変です。が、大変さゆえにそこで得た経験ややりがい、達成感は皆さんの糧になり、人間の幅を広げ、人として生きていく上で大いに役立つことになります。そうなるためにはまず、皆さんの現在位置を確かめてください。そうしてはじめて人生という名の羅針盤の舵をきることができます。
”感性”
名誉園長 髙橋 美代子
先日、汲々とした日々の生活を脱し、香川県直島南寺の漆黒の闇のなかに明かりのありがたさと闇への畏れ、岡山県吉永町八塔寺での囲炉裏の火おこしに、火の大事さ、暖かさ、そして怖さを実感してきました。目が見える、手が動くことがどんなにありがたいことか、普段意識もしないで当たり前のように過ごし、生活の便利さゆえに忘れていますが、恐らくは遺伝子の奥底に刻まれている「意識」が、そのことを呼び覚ましてくれたに違いないと思っています。この気づきを大切にしたいと思います。
実体験のなかでこそ、感謝や感動、生命への慈しみ、そして「知恵」が生まれてきます。試みに水や食料がない時と場所を体験してみる。電気でもいい。便利さゆえに、暑さ、寒さ、昼夜、水、食事がない状態を感じなければ、自然への畏敬や感謝の念などわきません。体が不自由な状態、おむつをした感触、ベッドに縛られた気持ちを体験することによって、感じ、考え、思いを馳せることができます。自分が困っている人の立場であったらどうして欲しいか、常に念頭においてほしいことのひとつです。
「氷」が解けるとどうなるかという問いに、「水」になるという知識だけではなく、「春が来る」という感性を大事にしていきたいと思います。お年寄りや障がい者、子どもの普段と何気なく異なる仕草や表情を感じ取れるようにしたいものです。皆さんの「知恵」を活かす時がきています。